水口施設長コラム No.16高齢者施設にみられる感染症

高齢者施設にみられる感染症

 

高齢者では、感染症はガン、脳卒中に次いで死因の第3位であり、依然として重要な疾患である。施設で多い感染症は肺炎(誤嚥性肺炎)、尿路感染症、および蜂窩織炎(三大感染症)である。その他、注意するものとして大腸炎、胆嚢炎等が上げられる。集団発生の可能性があるものとして、インフルエンザ感染症、ノロウィルス感染症、新型コロナウィルス感染症、疥癬などがある。

 肺炎になり、入院すると体力が低下し、日常生活が円滑にできなくなり(ADLの低下)、廃用症候群と呼ばれる心身が低下した状態に陥ることもある。嚥下機能の低下、認知機能の低下などがみられ、肺炎に罹患しやすくなるという負のスパイラルがおこる。また、排尿による洗浄作用の低下や免疫機能の低下によって尿路感染症が起こりやすくなる。さらに、皮膚の乾燥や亀裂による蜂窩織炎にも注意が必要である。
 高齢者が入居されている施設は本質的に感染に対して脆弱である。一定の空間での集団生活、リハビリテーション、介護・看護は通常の生活に比べると密になりがちである。また、高齢者に多いADLの低下、免疫機能の低下によって感染に罹りやすくなる。感染防止を図りながら、日常のケアを実践するというハイレベルの工夫・知恵が求められる。施設では毎月、感染対策委員会および感染対策担当者会が栄養管理委員会、教育委員会、療養会議などと連携しながら感染(拡大)防止に努めている。お陰様で、昨年以来、施設におけるインフルエンザ、ノロウィルス、新型コロナウィルスの集団感染は発生していない。
 脳梗塞やパーキンソン病などの利用者さんでは、嚥下機能が低下し、誤嚥性肺炎を罹患しやすい。発熱、肺雑音聴取、酸素飽和度の低下など典型的な肺炎症状がみられることもあるが、発熱もなくなんとなくいつもと違うということで、聴診してみると肺雑音があり、誤嚥性肺炎と診断されることもある。歯科医師による口腔ケア、嚥下体操、さらに言語聴覚士による嚥下機能評価や管理栄養士による食形態の工夫などを通して、誤嚥性肺炎の予防に努めている。さらに、肺炎球菌ワクチン接種を推奨している。
 大腸菌などの細菌が尿路に侵入すると、尿路感染症がおこる。特に、尿路カテーテルを使用している利用者さんは感染リスクが高く、無症候性細菌尿をすることも多い。下腹部違和感、発熱が主なる症状であるが、時には出血を伴うこともある。腎臓に達すると腎盂腎炎を併発する。高熱と共に背部叩打痛が陽性の場合は腎盂腎炎が疑われる。
 高齢者は予備能の低下、免疫機能が低下しており、急激に悪化することも有り、注意を要する。また、認知機能が低下している場合などでは、症状を訴えないこともあり、かすかな仕草や表情などに留意し、速やかに対策をたてることが必要である。施設では、介護、看護スタッフと共に、利用者さんの状態を観察している。日常と違うちょっとした表情や態度が病変を疑うヒントとなることがある。多職種で利用者さんの安全・安全に努めている。

  • アクセス アクセス


    〒244-0003
    神奈川県横浜市戸塚区戸塚町
    1800-3

    お問い合わせ アクセス情報はこちら