水口施設長コラム vol.1

「認知症」


 「暴漢がいます」「お父さん、僕はあなたの息子ですよ」、恍惚の人(有吉佐和子)の一節である。社会的な関心を呼び、2004年に「痴呆」は「認知症」と改名された。加齢と共に増加する認知症は、80代後半になると、10人中6人が発症すると言われており、その対策は大きな社会問題となっている。本施設でも認知症患者さんが入居されているが、認知症とは記憶、認知能力、判断力が低下する神経変性疾患である。
 現在、認知症の進行を抑制する薬剤が使用されているが、その効果は限定的であり、医療よりも介護が担う役割の方が大きい。認知症の中で最も多い「アルツハイマー型認知症」では、朝食をとったことや話した内容などをすっかり忘れていることなど短期記憶の低下が目立つことが多いが、進行すると自分がいる場所や生年月日が分からなくなること(見当識や長期記憶の低下)、電話をかけることや買い物ができなくなるなど一人で社会生活を営むことが困難となってくる。
 記憶力が低下し、これまで出来ていた日常行動ができなくなり、周りの状況を把握する判断能力が低下すると、不安、恐怖感をもつ。感情面が全面に出てくると、もの盗られ妄想、大声・不穏、幻視、徘徊などの症状(周辺症状)が出現し、介護者にとって大きな負担になる。つまり、記憶障害や判断力の低下はあるが、喜び、悲しみ、怒りの「感情」は保たれているのである。
 音楽療法、運動療法、アロマセラピーなどはこれらの感情に働きかけ、穏やかさ、楽しさ、喜びの感情を引き起こし、本人に安心感を与える。私達ホモサピエンスは喜び、悲しみ、危険などの感情を伴った事柄は記憶として残るように進化してきたことを考慮すると、これらの療法による周辺症状の軽減さらに記憶増強への効果も期待したくなる。
 認知症に対するケアに当たっては、利用者の尊厳は最大限に尊重されなければならない。相手のことを思いやる心「仁」を持ち、その実践に当たってはコミュニケーション能力、介護・看護技術を磨くこと「礼」が施設理念である「自分や家族が利用したいケアサービス」の実現につながると理解している。南戸塚地区を一望できる高台に位置しているヒューマンライフケア横浜は創立以来20年間地域の皆さんに愛され、今日を迎えている。周囲には閑静な住宅街、南戸塚中学校があり、四季折々の花や虫の音など自然を堪能できる。施設では、ゆったりとしたリズムでものごとが動いていく。このような認知症に優しい環境の元、職員は施設理念の実現に向けて日々活動している。

ヒューマンライフケア横浜
施設長 水口 純一郎
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神奈川県横浜市戸塚区戸塚町
1800-3

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