水口施設長コラム No.5 論語とそろばん

私の推薦書:「論語とそろばん」

  論語や武士道などの東洋思想を土台におき、西洋とは異なる資本主義の発展に貢献した渋沢の講演記録である「論語とそろばん」をご紹介したい。渋沢は現在の埼玉県深谷市で豪農の息子として生まれ、小さい頃から論語に親しみ、剣術に明け暮れていた。その後、一橋慶喜公に使えている。転帰はフランス万国博覧会の随行員として参加した時に訪れる。当時のヨーロッパにおける資本主義を土台にした経済力に圧倒された。
 帰国した渋沢は大蔵省(現、財務省)に招かれたが、旧幕府出身であるため首脳部である薩長との軋轢もあり、第1国立銀行の頭取となって実業界へ転身した。産業界の発展に尽くそうと決め、以後鉄道、水道、ガスなどの社会インフラ事業を初めとし、教育、医療、福祉など500余りの事業の立ち上げに関わった。
 西洋資本主義の発展の背後に、キリスト教があると見抜いた渋沢は日本資本主義の土台として論語や武士道をおいた。経済活動は利潤追求を追い求めがちになるが、他人を思いやること、地域の皆さんの役に立ちたいという道徳や志が豊かな国をつくる。つまり、「経済(そろばん)」と「道徳(論語)」が調和することが国の発展には欠かすことはできない、と説く。
 国の経済現状を分析し、対策を立てるには知識や知恵(智)は欠かすことはできないが、周りの仲間や後輩に対する思いやり(情)を欠くような態度では事はうまく進行しない。しかし、情にながされると大きな目標を見失う恐れがあり、情をコントロールする確固とした意志(意)が必要となる。つまり、これら3者をバランス良く保ちながら(中庸)、事に当たることにより成果を上げることが可能になる。
 ある程度成功すると、人はその場所にとどまり、保守的になりがちである。しかし、刻々変化している社会情勢に的確に対応するには、常に状況を分析し、改善・改革しようという「チャレンジ精神」が必要である。大きな志を持ち、「チャレンジ精神」を発揮するには、自己の確立が不可欠である。細心で周到な準備と共に大胆な決断・行動(肝大心小)によって初めて事業が成し遂げられる。
 HLCYは「自分や家族が受けたいケアサービスを提供します」を施設理念としている。この理念は、「己の欲せざる所は、人に施す勿れ」(自分が他人から受けたくないことは、他人にもしない)(論語)を逆に表現したものである。つまり、自分がしてもらいたいことは、他人にもそのようにしなさい、ということであり、施設理念と相通じるものがある。
 ヒューマンライフケア横浜(HLCY)が属している戸田中央医科グループ(TMG)の中村隆俊会長が「第15回渋沢栄一賞」を受賞された(2017年)。この賞は我が国の資本主義の発展に大きく寄与した渋沢栄一氏の功績を称えると共に、その精神を受け継ぐ経営者に贈られている。今後も渋沢の企業精神を土台として施設理念の具現化を目指して参ります。

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